曲がったヘソが茶を沸かす//日没までにはもうちょっと時間のある偏屈男の独白録
2011/05/18 (Wed) いざ!引っ越し<その2:怒涛の値切り術>

(承前)

それから引っ越しの手配である。できるだけ安い運送業者を探したい。カミさんが奔走し、手を尽くした結果、リフォーム業者の紹介で運送屋さんが見積もりにやって来た。
料金交渉(値切り)はカミさんがスペシャリスト。私は脇に控えて交渉の経緯を見守るだけ。
梱包は全部こちらがやるから、しかも今ある家具なんかはほとんどを粗大ゴミで捨ててしまう、それに場所も近いことだし、できるだけ安くしてくれという条件だ。
運送屋さん弱ってしまって、しばし黙考。
(運)「予算はいくら位で考えているか?」
カミさんもさるもの、手の内を晒さない。
(カ)「安ければ安いほど嬉しい」
(運)「他の業者の見積もりは取ったのか?」
(カ)「お宅が最初、これからいくつか当たってみるつもり」
運送屋さん、電卓を取り出した。しばしポチポチと計算し、見積書に記入してオズオズとカミさんに提出。覗いて見るとこちらの想定価格より5万円も下回っている。
「しめた!」と浮足立つ私。
ところがカミさん、少しも騒がず
(カ)「これで精一杯なの?」
(運)「う~ん、これがギリギリということで…」
とまた1万円下がった。
ところがカミさん、
(カ)「お宅に決めるから、もっと勉強して!」
運送屋さん、脂汗を浮かべて、
(運)「朝9時から、4トン車じゃなくて2トン車で2往復でも宜しければもう少し」
(カ)「もちろんそれで結構」
(運)「それなら、死んだつもりで」
(カ)「最後にこの端数を取ってスッキリ手打ちをしましょう」
(運)「そればっかりはご勘弁を」
と、こちらを向いて、思い入れたっぷりに
(カ)「どうしようかなぁ…」
そしてしばし沈黙の後、
(カ)「この人(私のこと)が切なそうな顔をしているから、これで手打ちにしてあげる」
私も営業経験が長かったので、値切られる身の辛さはよく理解できる。だから値切ることには心が痛むのだ。
運送屋さん、土下座せんばかりに頭を下げて一件落着。
結局、当初の想定費用より7万円も安くなった。

今度は家具センターに本棚を注文しに行った。
引っ越しのたびに私を悩ませるのは本の処遇である。もともとがしみったれで、その上文系の出のため本は資料として手放せない習慣がついている。しかも電車やトイレで本が手放せない重篤な活字中毒も患っているため、希覯本などあるわけはないが、駄本が貯まりに貯まってリビングや廊下にも自家製のペナペナの本棚を置く始末である。引っ越しを機会に、一つの部屋に集めてちゃんとした本棚に収容したいと考えたのだ。そして過日近所の家具センターで価格も見た目も格好なものを見つけた。
そこでまたカミさんの出番である。さっそく売り場に出かけて売り場の担当と掛け合ったらしい。いくら安くするのかという問いかけに、売り場の担当は購入を確約しなければ交渉できないという返事だったので、その場は物別れであったようだ。その後その担当からカミさんに何度か電話があったが、その都度同じ話の蒸し返しに終始していた。
震災の影響で入荷が滞っているとの情報もあり、発注するなら早い方がいいというわけで、某日出掛けたわけである。そして、また掛け合いが始まった。
カミさんの目論見は15%OFFである。ところが担当の回答は「上司と相談したところ…」と言って2%引きの提示であった。これでは話にならない。当然のことながらさらなる値引きを迫るカミさん。
その気迫に堪りかね、「上司に後で怒られるけど、私の独断で…」とさらに同額の値引きの上積みを申し出る。
カミさん、嵩にかかって「キッチンの収納棚も買うからもう一声負けなさい」と詰め寄る。
担当者はもう半ベソ、「勘弁してください、値引きは上司が許さないのです」、
カミさん、大きくため息、「そんなことなら買わない、他に行く」、
担当者、土下座せんばかりに「お願いです、買ってください、お願いです、お願いします」ともう必死、哀願モードだ。
結局、配送と取り付けをタダにさせて、こちらも一件落着。都合1万円強安くなった。
オバさんは図々しいとか厚かましいとか言われているが、我がカミさんの怒涛の値切り術は、もはや至芸の域に達している。

(続く)

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Author:s.totto
「多数派につくな」を信条とする、ヘソの曲がった団塊オヤジ。
それが祟って60歳からの再出発人生が、初体験の単身赴任のサプライズ。
このブログ、私的備忘録のつもりなので、人様にとってはどうでもいいことを、ダラダラと書き連ねています。
お退屈様。

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